Alexander夫妻と藍染め扇子

皆さんはクリストファー・アレグザンダー(Christopher Alexander)という建築家をご存知ですか。
論文「都市はツリーではない」で幾何学的に計画された近代都市の問題点を指摘し、より人間的な住みやすい活き活きとしたまちづくりを住民参加型で行なうための作法を「パターン・ランゲージ」や「ネイチャー・オブ・オーダー」という画期的な知恵の体系にまとめたことで有名です。

彼の思想は、現代的なキンピカのビルや町にはない、人間らしい(ちょっと不便なところもあるけれど)いきいきとして自然なまちを住民や関係者の間でパターンランゲージで気持ちや思いをつなぎ合わせながら一緒に作りあげていく、その過程をとおしてサステナブルな愛着のある、まちや都市を徐々に作っていきましょうというものです。これは、「現代と伝統」「科学と知恵」が調和した生活のためのグッズの提案というかわうそ兄弟商會の理念とも合致するものだと感じています。

実は今回、Alexanderに学び一緒に日本で盈進学園キャンパスづくりに携わった建築家の中埜さんにお願いして、かわうそ兄弟商會の新作・藍染め扇子「記号天の川」をAlexanderに贈呈させていただきました。ちょうど夫妻で扇子を広げて煽いでいただいているところを写真に撮らせていただきました。

彼の作品で最大にしてもっとも価値のある建築物の1つが日本の埼玉県入間市にある盈進学園東野高校キャンパスです。先生、生徒、父兄、周辺住民を巻き込んで参加型でワークショップを重ねながら、入間のこの一帯の地域的な特性を生かした蔵や漆塗りを取り入れ、生徒がクラスごとに独立した建屋が欲しいという大胆な希望を明快に取り込み、敷地の地形としての面白さを台地上のキャンパスや池と食堂へ渡る太鼓橋として借景し、それらが一連の有機的な村を構成する様子は一見の価値があります。生徒さんもみなこのキャンパスに誇りを持っている様子が見学に行くと目の当たりにできます。